2026/09/13
服に使われる生地は、見た目や素材だけでなく「どのように作られているか」によっても特徴が大きく変わります。
代表的なのが「織り」と「編み」です。
シャツやジャケットに使われる生地と、Tシャツやセーターに使われる生地では、触ったときの柔らかさや伸び方が違います。その違いには、生地を作る構造そのものが関係しています。
今回は、服づくりで知っておきたい「織り」と「編み」の違いや、それぞれの特徴、向いている用途についてわかりやすく解説します。
「織り」と「編み」は何が違う?
大きな違いは、糸を生地にする方法です。
「織り」は、たて糸とよこ糸を交差させながら生地を作ります。この方法で作られた生地は「織物」や「布帛(ふはく)」と呼ばれます。
一方の「編み」は、糸でループを作り、そのループ同士を連続してつなげることで生地を作ります。こちらは一般的に「編物」や「ニット」と呼ばれます。
作り方が違うことで、伸縮性や風合い、強度、着心地などにも違いが生まれます。
織物(布帛)の特徴
織物は、たて糸とよこ糸が交差した構造になっているため、形が安定しやすいのが特徴です。
一般的にはニットと比べて伸びにくく、ハリやコシを持たせやすいため、シャツやブラウス、パンツ、ジャケット、コートなど幅広い衣類に使用されています。
また、糸の交差方法によっても生地の特徴が変わります。
代表的なものには平織、綾織、朱子織などがあり、同じ素材を使っていても織り方によって手触りや光沢、耐久性などが変化します。
服のシルエットをきれいに見せたい場合や、ある程度形を保ちたい製品に向いている生地です。
編物(ニット)の特徴
編物は、糸をループ状につなげて作られています。
この構造によって生地自体が伸び縮みしやすく、柔らかな着心地を作りやすいのが大きな特徴です。
Tシャツ、スウェット、パーカー、セーター、インナーなど、体の動きに合わせて伸縮してほしい製品によく使用されています。
「ニット」と聞くとセーターを想像することも多いですが、Tシャツに使われる天竺なども編物の一種です。
伸縮性があるため動きやすい反面、縫製時には生地が伸びたり歪んだりしやすく、扱いには注意が必要です。
同じ素材でも生地の特徴は変わる
「綿だから柔らかい」「ポリエステルだから丈夫」というように、素材だけで生地の特徴が決まるわけではありません。
例えば同じ綿100%でも、織物にすればハリのあるシャツ生地にすることができますし、編物にすれば柔らかく伸縮性のあるTシャツ生地にすることができます。
つまり服づくりでは、「何の素材を使うか」と同じくらい「どのような構造の生地を使うか」も重要です。
素材と生地構造の組み合わせによって、製品の着心地や見た目は大きく変わります。
縫製方法にも違いがある
織物と編物では、縫製するときの扱い方も異なります。
比較的形が安定している織物は裁断や縫製を行いやすい一方、生地によっては端がほつれやすいため、ロックミシンなどによる処理が必要になります。
編物は伸縮性があるため、通常の縫い方では縫い目が伸びについていけず、糸切れや縫い目の破損につながることがあります。
そのため、生地に合わせて針や糸、ミシン、縫い方などを調整することが重要です。
生地の特徴を理解した縫製が、きれいな仕上がりと着心地につながります。
どちらを選べばいい?
織物と編物のどちらが優れているというものではありません。
重要なのは、作りたい服に適した生地を選ぶことです。
きれいなシルエットやハリを出したいシャツやジャケットであれば織物が向いています。一方、動きやすさや柔らかな着心地を重視するTシャツやスウェットであれば、編物が適しています。
デザインだけで決めるのではなく、着用する場面や求める機能まで考えることで、より適切な生地を選ぶことができます。
縫製工場では生地の特性を見極めることが重要
服づくりでは、生地によって同じ縫製方法が使えるとは限りません。
伸びやすさや厚み、柔らかさ、ほつれやすさなどを確認し、それぞれの生地に合った方法で裁断・縫製する必要があります。
特に量産では、一着だけきれいに仕上げるのではなく、安定した品質で同じ製品を作り続けることが求められます。
そのため、生地の構造や特性を理解することは、縫製品質を安定させるうえでも重要なポイントです。
まとめ
生地の「織り」と「編み」は、糸から生地を作る方法そのものが異なります。
織物は、たて糸とよこ糸を交差させて作られ、形が安定しやすく、シャツやパンツ、ジャケットなどに幅広く使われています。
編物は糸のループをつなげて作られ、伸縮性や柔らかさに優れているため、Tシャツやスウェット、セーターなどに適しています。
服づくりでは素材だけを見るのではなく、生地がどのような構造で作られているかまで理解することが大切です。
生地の特徴を正しく見極め、それに合った裁断や縫製を行うことが、着心地が良く品質の高い製品づくりにつながります。