2026/02/28

縫製工場が見る「売れない服」の共通点

売れるかどうかは市場が決めるものですが、縫製工場で長年ものづくりに関わっていると、なんとなく「これは厳しいかもしれない」と感じる瞬間があります。
もちろん絶対ではありません。ただ、現場から見て共通しているポイントはいくつかあります。


売れない服に多いのは、「誰に向けた商品なのか」がぼやけているケースです。

ターゲットが明確であれば、シルエットやサイズ感、生地の厚み、価格帯まで自然と決まっていきます。
しかし、方向性が曖昧なまま進むと、デザインも仕様も中途半端になりやすい。

工場側から見ると、「この服は誰が着る想定なのだろう」と感じる案件は、販売時にも苦戦する傾向があります。

見た目はかっこいい。写真映えもする。
ただ、実際に着ると重い、動きにくい、シルエットが崩れる。

パターンや縫製設計が甘いと、試着段階で違和感が出ます。
売れるブランドは、見た目だけでなく「着たときの快適さ」を重視しています。

縫製工場では、縫いやすさよりも着心地や耐久性を優先すべき場面があると分かっています。そこが軽視されていると、完成度に差が出ます。

品質が悪いという話ではありません。ただ、管理の難易度が違います。

現地に行かなければ確認できない。細かなニュアンスが伝わりにくい。検品基準の認識にズレが出る。そうした積み重ねがトラブルにつながることもあります。

国内であれば、打ち合わせや立ち会い検品がしやすく、トラブルの芽を早い段階で摘むことができます。ブランドの世界観を守るという意味でも、距離の近さは大きな強みです。

価格を抑えたい気持ちは当然です。
しかし、生地や副資材を極端に落とすと、完成品の印象も落ちます。

縫製現場では、ほんのわずかな仕様変更が品質に大きく影響することを知っています。
コスト調整と価値のバランスが崩れている服は、結果的に選ばれにくくなります。

トレンドは常に変化しています。
ただし、トレンドを追うだけでも難しい。

売れない服は、市場の空気と少しズレていることがあります。
サイズ感が一世代前、シルエットが微妙に古い、価格とクオリティが釣り合っていない。

工場では複数ブランドを横断的に見るため、「今動いている方向性」が見えやすい立場にあります。その視点から見ると、差は意外とはっきりしています。

縫製工場の目線で見ると、売れない服には共通する傾向があります。
コンセプトの曖昧さ、着用感の軽視、過度なコスト削減、市場とのズレ、そして修正不足。

ものづくりは、縫うことだけではありません。
設計、検証、改善の積み重ねが、最終的な「売れるかどうか」に直結します。

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