2025/11/17
縫い目が部分的に抜け落ち、ステッチが不揃いに見える“目飛び”。
表面の見た目だけでなく、縫い合わせの強度にも影響するため、量産では避けたいトラブルの一つです。
今回は、目飛びがなぜ起こるのか、その原因と工場で行っている対策についてわかりやすくまとめました。
目飛びが起こる主な原因
1. 針先の摩耗や変形
長時間使用した針は先端が摩耗し、生地を正しく捉えられなくなります。
特に厚地・デニム・合皮など、負荷の高い素材では針の劣化が早く進みます。
2. 糸調子の乱れ
上糸・下糸のバランスが崩れると、ループの形成が不安定になり、針が糸を拾い損ねることがあります。
糸調子不良は、素材・糸の太さ・ミシンの種類によって頻発しやすいポイントが変わります。
3. 押え圧が合っていない
押え圧が弱すぎると生地が浮き、針と糸のタイミングがずれて目飛びが発生します。
逆に押え圧が強すぎても生地送りが乱れ、同じく不具合の原因になります。
4. 生地の素材特性
伸縮性の高いニット、滑りやすいポリエステル、厚みが急に変わる部分など、素材特性によって目飛びが起こりやすい条件があります。
素材によっては “専用針” や “専用押え” が必要なケースもあります。
工場で行っている具体的な対策
工場では、目飛びを防ぐためにいくつかの工程管理を徹底しています。
まず、目飛びが起きやすい素材を扱うラインでは、針の耐久時間をあらかじめ決めてこまめに交換し、作業内容に応じて針番手(#9・#11・#14など)も調整しています。また、量産前には素材・糸・ミシンの組み合わせごとに必ずテスト縫いを行い、上糸・下糸のテンション調整や糸道の清掃をセットで実施し、縫製の安定性を高めています。
さらに、押え圧についても素材に合わせて細かく調整し、生地が浮かないように設定。段差のある部分では専用の補助具を使い、押えの角度が崩れないように工夫しています。加えて、素材ごとの特性に合わせた専用対策も欠かせません。例えば、ニットにはボールポイント針、滑りやすい素材にはテフロン押え、厚地には太番手糸と適正針を組み合わせるなど、最適な設定を選択して品質を安定させています。
まとめ
目飛びは、一つの原因で起きるわけではなく、
針・糸調子・押え圧・素材といった複数の要素が重なって発生します。
工場ではそれぞれを細かくチェックしながら、生地に合わせたベストな設定を探し、
量産ラインで安定した縫製品質を保つ仕組みづくりを行っています。