2025/10/16
洋服づくりにおいて欠かせないのが「生地の特性」を理解することです。見た目や手触りだけでなく、洗濯後にどう変化するのかを想定して縫製を行わないと、せっかくの製品がすぐに型崩れしたり、色移りでトラブルになったりします。縫製工場では、生地ごとの特徴を踏まえた工夫を積み重ねて品質を守っています。
綿素材 ― 縮みに備えた「地直し」
綿は洗濯後に縮みやすい素材です。そのため、裁断前に一度水通しをして生地を落ち着かせる「地直し」を行い、製品化した後の縮みを防ぎます。これによりシルエットの崩れを最小限に抑えることができます。
デニム素材 ― 色落ちへの配慮
デニムのように色落ちが強い素材は、縫い糸や副資材への色移りが問題になりやすいです。そこで濃色に適した糸を選んだり、洗濯テストを行って変化を確認するなどの工夫が欠かせません。
ウール素材 ― 縫い目のテンション調整
ウールは縮絨しやすいため、縫製時に縫い目のテンションを緩めに設定します。これにより、洗濯後も型崩れを防ぎ、柔らかい風合いを保ちやすくなります。
ポリエステル素材 ― 温度管理の重要性
ポリエステルなどの合成繊維は縮みにくい反面、アイロンの熱に弱いという特性があります。温度管理を誤るとテカリや溶けの原因になるため、仕上げ工程での注意が不可欠です。
素材ごとに工夫を重ねる縫製現場
このように、生地の性質を理解したうえで適切な方法を選ぶことが、縫製工場の大きな役割です。単に“縫う”のではなく、洋服が長く愛用されるよう、素材に合わせた工夫を積み重ねています。