2025/09/30
洋服づくりの現場では、生地選びやデザインが注目されがちですが、実は「糸」の存在も見逃せません。縫い目をつなぐ小さな一本の糸が、服の強さや着心地、見た目の印象に大きな影響を与えているのです。
縫製で使われる糸の種類
縫製に使われる糸にはいくつかの種類があります。最も一般的なのは「スパン糸」で、綿やポリエステルを撚り合わせたもの。自然な風合いと安定した強度があり、多くの衣類で使われています。一方、光沢感やなめらかさを出したいときは「フィラメント糸」が選ばれます。ポリエステルなどの長繊維からできていて、強度がありドレスやスポーツウェアにも用いられます。さらに、強さと見た目のバランスを取るために、ポリエステルの芯を綿で包んだ「コアスパン糸」が使われることもあります。
糸が担う役割
糸の役割は単に布をつなぐことだけではありません。まず第一に「強度」。縫い目が弱ければ、どんなに良い生地を使っても服はすぐに傷んでしまいます。次に「見た目」。縫い糸の色や光沢によって、仕上がりの表情が大きく変わります。そして「機能性」。伸縮する糸を使えば動きやすい服になり、防縮性やほつれ防止の工夫で長持ちする服に仕上げることもできます。
糸選びで変わる仕上がり
同じ生地でも、糸の選び方次第でまったく印象の異なる服になります。たとえば丈夫なワークウェアでは強度を重視した糸を、繊細なドレスでは光沢や風合いを重視した糸を使用します。糸一本の違いが、完成度や着心地を大きく左右するのです。
まとめ
縫製において糸は小さな存在ですが、服の完成度を決める大きなカギとなります。見えにくい部分だからこそ、プロの縫製現場では生地やデザインと同じくらい丁寧に糸選びが行われています。